蒸着
金属の試料を蒸発させて気化させた試料分子を基材の表面に堆積させ薄膜でコーティングする成膜技術
蒸着工程について
蒸着フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリイミド(PI)、アラミドを蒸着しています。
金属は、主にアルミニウム、亜鉛及び銅を蒸着しています。
蒸着機内は巻取り室と蒸着室に分かれており高真空下で金属を加熱することで蒸発を促しプラスチックフイルムの表面に均一に付着させることができます。
高真空下とは空にオーロラが発生するあたりの圧力です(高度100~300km)
蒸着膜厚は100Å~20000Åまで蒸着できます。(10nm~2000nm)
当社の蒸着させる金属の加熱方式は、
- 高周波誘導加熱方式、
- 抵抗加熱方式、
- エレクトロンビーム方式 の3種類の方式があります。
金属蒸着フイルムをコンデンサに使用するためには縦方向に未蒸着部分(マージン)を残す必要がありこれを形成する機能も真空蒸着機内に組み込まれています。
高周波誘導加熱方式(金属加熱方式)
丸型ルツボを使用し、約1400~1500℃に加熱して金属を溶かします。
コイルに電流を流すことで磁界が発生しルツボが加熱されます。

抵抗加熱方式(通電加熱方式)
ボートを加熱し、ワイヤー状のアルミを連続的に送り込み蒸着させます。
耐食性と導電性をもつBNコンポジット材に通電することで加熱させます。

エレクトロンビーム方式
蒸着金属に直接電子ビームを当て加熱する方法で、他の方式の様なルツボやボートを加熱していません。

蒸着機について
蒸着機真空排気系
3段階の排気系に分かれており蒸着に最適な高真空を達成できます。
高真空ポンプ
フィルムに均一な蒸着膜を形成可能な高真空にするポンプ
中真空ポンプ
高真空ポンプ作動までの中継的ポンプ
粗引ポンプ
大気から真空引きを開始するポンプ
蒸着機(巻取り系)
フィルムは巻出し側からシワ延ばしロールを経由しCC-1(冷却ロール)の下部を走行し蒸着室に入ります。 蒸着されたフィルムは冷却されシワ延ばしロールを経由して巻き取られます。
フィルム厚みは最も薄い物で1μmから蒸着可能です。
マージン工程 I /オイルマージン
- オイルマージン技術は当社のノウハウから生まれました。
- 最も狭い製品幅で2.25mm、マージン幅0.25mmを実現しています。
- 付着量の測定には液体クロマトグラフィーを使用しています。
パターン蒸着
- 安全性や電位傾度を向上させるため行うあらゆるパターン蒸着にも対応できます。
- パターンロール技術の向上でさらに複雑、細かな形状にも対応できるようになりました。

宇宙用特殊アルミ蒸着
2010年5月に種子島から打ち上げられた宇宙航空研究開発機構(JAXA)のH-ⅡAロケットには、小型ソーラー電力セイル実証機「イカロス」が搭載されております。
イカロスの宇宙セイルは、1辺が14mにも及ぶ巨大なセイル(帆)であり、JAXA開発の特殊ポリイミド膜(8ミクロン)に当社が宇宙用特殊アルミ蒸着を施したものです。
このように当社の誇る蒸着膜形成技術は地球の大気圏内だけでなく、宇宙でも高く評価されています。
JAXAホームページ https://www.jaxa.jp/
